生活体の行動を引き起こす力としては、古くから本能が考えられてきた。
ウィリアム・マクドゥーガル(William McDougall)は、人間の行動を14の本能によって説明しようとした。
| 本能の種類 | (随伴する情緒) | |
|---|---|---|
| 1 | 逃避 | (恐怖) |
| 2 | 闘争 | (怒り) |
| 3 | 拒否 | (嫌悪) |
| 4 | 哺育 | (慈愛) |
| 5 | 求援 | (絶望) |
| 6 | 求偶 | (快楽) |
| 7 | 好奇 | (好奇心) |
| 8 | 服従 | (卑下感) |
| 9 | 自己主張 | (優越感) |
| 10 | 社会・群居 | (孤独感) |
| 11 | 求食 | (食欲) |
| 12 | 所有 | (所有欲) |
| 13 | 構成 | (構成欲) |
| 14 | 笑い | (娯楽心) |
ウィリアム・マクドゥーガル(1871 – 1938)

マクドゥーガルは20世紀初頭に本能説を主張し、社会心理学に大きな影響を与えた、英国,米国の心理学者である。
マクドゥーガルによれば、人間の行動の原因は学習よりも本能が先立つとして、本能は遺伝的、生得的なものであるとした。
しかし、生得的で固定的な概念としての本能によってすべての行動を説明しようとする場合、学習や環境の要因に基づく行動の変容を十分に説明することができず、本能概念はしだいにすたれていった。
また、ある行動に対応する本能を同定していくと、行動の数だけ本能の種類も増やしていかなければならず、単なる同義語反復(トートロジー)に陥ってしまうのではないかと批判された。